医療・介護の鍵diary

健育社代表がガツガツほのぼの医療介護を語るページ

人生の最終段階における医療の普及・啓発在り方検討会 アンケート結果その1

人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方検討会が終了しました。

最終の報告書が31日までには出されるものと思われます。

5年ごとに行われていた意識調査についての報告もなされました。

●調査結果 サマリーその1 

平成29年12月5日~29日に郵送による自記式質問・調査票の送付回収が行われいます。

対象者(回収人数、回収%)は国民(n=973,16.2%)、医師(n=1088,24.2%) 、看護職員(1620,27.0)、介護職員、及び各施設長(n=537,26.9%)です。

病院の医師や看護師は人生の最終段階に特に関わると思われる方へ選定するよう依頼しているとのことです。

 

<考えたことがあるのは6割だけど、家族や医療関係者と話しているのは4割>

 

●人生の最終段階における医療・療養について考えたこと

考えている人は一般国民59%、医師89%、看護師82%、介護職員は80%

だが、家族や医療介護関係者と話し合ったことがある(詳しく、一応の合計)

一般国民39.5%、医師60.6%、看護師51.8%、介護職員は50.1%

※H25はそれぞれ4割、6割、5割強

…医療従事者には高まってきたものの、国民は4割止まり。

医師が少し高めな点はやはり直面することが多かったり、様々な責任者であることから、周りの方に伝えているのだろうと推察しました。

考えている人が半数を超えているのであれば、あとは伝えることに繋げる策が必要ですね。これがとに各大変なのですが、既にお伝えしているものの、難しい。

前回調査から現在までの間に活動してきたものの、調査の中での「国民」の割合が上がらないというのはどういうことか…。

という残念な結果です。今回GL改定や 診療報酬で逐一「プロセス」実践が謳われたので実施は増えるでしょう。

ただし、どのようにするかが問題であり、救って欲しい人にいきなり宣告されるような印象を持たれてはいけないと思うのです(私の懸念点はここです)。

 

<事前指示書は賛成は7割程度だが、そのうち書いている実践者は1割を切る>

 

●事前指示書の作成賛否

賛成であるとの回答、一般66% 、医師77.1%、看護師78.4%、介護職員76.0%

賛成回答者のうち、作成しているのは一般8.1%、医師6.0 %、看護師3.7%、介護職員2.7%

※事前指示書とは…

自分が意思決定できなくなった時に備えてどのような医療・療養を受けたいか、あるいは受けたくないかなどを記載した書面を言います。こちらも5年前と変化ほぼなし。

そして…書いている人は!少ない。

驚く事に 「書く事賛成」と言ってる医療・介護従事者の書いている割合の少ない事!

 

代理人の指定に賛成は60~80%で実際選定しているのは20~30%>

●代理に意思を決めてくれる人の選定

賛成:国民63%、医師74.8 %、看護師74.4%、介護職員77.8%

賛成回答者のうち選定しているのは一般22%、医師31%、看護師24%、介護職員17%

 

代理人の指定は医療・介護従事者からその人の意思やケアを考えられる人、切り盛りしている人を「キーパーソン」と呼び、その人を軸に家族などから得る本人の意思を想定しているのですが…。

ここで興味深いのは、指示書書いてないけど、託す人を決めている という従事者が多い点。

つまり、意志決定は人生最終段階において、ご本人では難しいんだという実情を多く経験しているからなのかもしれません…。

 

<アドバンス・ケア・プランニングという言葉の浸透はこれから、実施賛成は6~8割>

●アドバンス・ケア・プランニング(ACP)認知度

よく知っている:一般国民3.3%、医師22.4%、看護師19.7%、介護職員7.6%

ACPの賛否

賛成:一般国民64.9%、医師75.9%、看護師76.7%、介護職員80.1%

 

…え?

アドバンス・ケア・プランニングとは、人生の最終段階の医療・ケアについて、意思に沿った医療ケアを受けるために、ご家族等や医療介護関係者等とあらかじめ話し合い、また、繰り返し話し合うこと(Advance Care Planning : ACP)

 

です。国民はさておき(これもね…啓蒙が大変)

この言葉を知らない

のだとと思われます。

なぜなら、現場では度々「どうする」という思考が繰り返し行われているはず。(でないと看取れるわけがない)。あるいは医師・看護師の一部で完結してしまっているのか?

また、ACPに賛成とする方の割合は、医師・看護師に対して介護職員が一番高い点は

興味深い結果です。つまり、話し合って周りでのコンセンサスを得たいという思いがあるものと思われます。

<実際、話し合いができているのは60~70%>

●医療介護従事者のみ

患者(入所者)との話し合いの実態

担当する方の人生の最終段階の医療・ケアについて本人と十分な話し合いができているか(意思が確認できない場合は患者本人の意思に基づいて家族等との話し合い)

十分、一応行っている→ 医師65.1%、看護師61.3%、介護職員55.7%

ほとんど行っていない→ 医師13.1%、看護師16.2%、介護職員30.9%

…これをどうとらえるか

回答者の配属先や業務による差がここに現れると思うので、捉え方は慎重にしたいところだ。あとはこの話し合いをどのように誰を集めて行っているか

という状況もあるかもしれない。十分かどうか、という点からいえば、十分行っているとの回答割合は各々27.3%、看護師17.5%、介護職員18.5% 

なので、もう少しここが加速度的に伸びて欲しい…。

損害保険会社の出身の方で、介護施設をクライアントにしている方は、

「畑川さんが話しているような、話し合いが行われているのは考えにくい」

といわれたことを覚えている。恐らくは、人員、時間の面でそこに回っていない状況があるのでしょう。

 

話し合っている、の回答者にいつ?という質問に「死期が近づいているとき」

という割合が多いのは当然と言えば当然であるが、代理人もこの時期ということのようだ。

 

更に医療・介護職員の方への質問部分はその2に…。

 

もっと詳しくご覧になりたい方は23日の資料はこちら。

ぼそっと一言

12月に行った調査ですが、郵送での返答となると、回収~集計までの労力本当にご苦労様です。回収率がもう少し高くなるには、何等か方法が必要かな…とも思います。