医療・介護の鍵diary

健育社代表がガツガツほのぼの医療介護を語るページ

がんと宣告され「誰か助けて」と思ったらこれを読んで欲しい

医者・病院・薬局を選んで、病気でも健康に生きるために

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表題の書籍名で患医ネット代表 鈴木信行さんによる著書が発刊されました。

生まれてから今まで、患者として49年「健康」に生き続けています。

なんと、ご自身は、二分脊椎を持ち、がんを2回体験、そして今はがんと共に生きています。標準タイプの私から見ると「すごい体験」を先にしています。

彼は、「病や障害は怖い・恐ろしい」などという固定概念に対する破壊力があります。

それも、ネガティブと捉えそうなものをスッと「力に変換」する行動にたけているところが見事なのです。

 

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私の第1印象:まず、明るい。そして、生き方がカッコいい。とてもシンプルで自分に正直で優しい。49年の「患者歴」だからか。それだけではない・・・書籍でも感じる文章がところどころに。メディア特有の注目浮き沈み、お祭り情報のようなものとは違う芯の強さがある。だからこそ信じられることが多いのです。

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書籍を開けると、いきなりの問い。「健康とは」です。

 

第1章:健康を考える

最初から感服。私がいつもセミナーで唱える最後のppt。そのまま頭から出てきます。同じ姿勢。

健康の定義について、多くの方は身体的な側面でしか健康を捉えません。

本当は、身体的にも、精神的にも社会的にも「満たされた状態」とWHOは定義しています。

人生全体から健康を考える

鈴木氏は、自らの持って生まれた身体について受け止め、精神的、社会的満足を充足しようではないかと、提唱しています。

そういう点で鈴木氏は相当「健康」な人です。自分でやりたいことを公言し、実践し達成してしまう主でもあります。この時点で凡人と違う。

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健康の定義・・・満たされること

第2章:自己を見つめるススメ

病が見つかった時、に思うこと。その時の様子を素直にシンプルに語る文章。

一つ一つがまっすぐです。ネタバレするのでここはあまり書きません。

第3章:情報を見分けるススメ

私は、鈴木氏とは面識がありますが、鈴木氏に甲状腺がんが見つかった時、自分の方が衝撃を受けました。

それでも鈴木氏は「これはチャンスだ」といって、ある体験をしてきます。

(もう、これも度胆を抜く行動でした)

医師を信じるな、という医師に会いに行く。

その体験を持って

「なぜそのNGな医師に惹かれ正しいとされる標準医療を辞めてしまうのか」を解いています。その体験から今の医療で不足しているものは何かを伝えています。

(医療従事者は何ができるのでしょうか)

そこでの答えは

「自分の人生を医師に任せていいの?」

である。医師も人なり。

自分は自分で決める、その時に決められるだけの力をつけようではないか。

という、信じられるルートの構築を薦めています。これが書籍の本筋で語られていきますし、それを伝えたくて書いた書籍ともいえます。

がんに対する情報の確からしさを何でどのように確認すると良いか

がとてもわかりやすい(個人の感想です)。

そして、情報を得るための行動も記しています。

第4章:からだの専門家になろう

鈴木氏は、自分のからだの事を理解するためにメモをとる事を推奨し、メモする場所として「お薬手帳」を活用。お薬手帳を自分のからだを一目で理解できるものに位置付け、書き留め、追加し、診療に役立てています。

そして、帰宅してわからないことが内容にメモを取りながら先生のお話をきくなど、諸々の「受診方法」「記し方」のアイデアを掲載し、「自ら作り上げる」手帳であることを説いています。

第5章:失敗しない医療者の選び方・付き合い方

ここでは、医療を取り巻くあらゆる職業についての仕事と関わり方、そして、就業先と医療との関係性についても述べています

ここ、結構見えていません。この視点は彼ならではです。

これから医療を受けながら就労をし続けていくためにも重要なことと思います。

最近も感じたことですが

長生きができるようになったはいいけれど、

生きるために就労し続け収入を得ることが大切です。

切実ですがここを抑えることの重要性を外していません。

第6章:失敗しない病院の選び方

自分にとってより良い病院とは、という問いからのスタート。

自らの入院体験から、その時間を有意義に使っていく便利グッズや過ごし方が提案されています。

第7章:失敗しない薬局の選び方

薬局の可能性を信じる鈴木氏。本書籍でも薬局をどんどん役立ててほしいという思いを綴っています。

鈴木氏のかかりつけ薬局の薬剤師さんは、「門番のように薬剤師さんが安心して医療を受けることを支援してくだっている」ようですね。

個人的にも存じ上げていますが、確かにかなりの力強さを感じる「門番」です(個人の感想です)。

ここは、ご本人が受けている恩恵をベースに語られているので参考になります。

そして、このような方を見つけ出すのも「患者」としての力ということを感じます。

受け身ではなく、自らの行動で。

第8章;自分の要望書 作成のススメ

自分の希望が通らない医療 

という現実を変えるために、要望書を用意しては?という提案。

これは「広義」の「人生会議:アドバンスケアプランニング(ACP)」。

大賛成です。

この時、自分が一番大切にしたいこと、大切にしていること

がなんなのか、という自らを問う事になります。

人生の最終段階ということではなく、医療を自分はどう受けたいか

という事を記している要望書の例には、本当に要望がしっかりと書籍内の要望書に書かれています。

治療の選びかた、先進医療への取り組み意思など、他諸々(素晴らしい)。

これを提示された医療機関様は、ピシッと襟を正したでしょうね。

対等なパートナーとしての医療の受けかたが記されています(書籍で楽しみに)

第9章:学びの場に参加する

「知る場」「学び場」の大切さを感じている鈴木氏。

学びは今、ググればすぐに出てきます。

ネットのどこから情報を得るかという精査法も必要ですが、

それ以上にリアルの学びの場、患者会などのコミュニティに参加する事を提案しています。鈴木氏は、患者さんを医療教育へ送り込もうと、「患者スピーカーズバンク」

という組織を回していました。

また、行政や病院でも積極的に勉強会を開催しているところが多々あります。

最近は、病院内でもコミュニティ化してきていると感じています。勉強会などを積極的に行なっている病院のありますし、自治体でもあります。

また、「患医ねっと」でも多くの情報を得ることができます。

www.kan-i.net

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終わりに 

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あとがきには、「私が生きている意味」を役立ててほしいという声が。

「どう生きるか」

ということ、自ら決めて行動し続けることを再度投げかけています。

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編集後記

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・・・・「終わりは誰もわからない(笑)」

鈴木氏とお会いした時に、ちょっと聞いてみた。

甲状腺がんになった後、今までやってきた役割をどんどん引き継いでますね」

そう。いつ自分がこちらから「あちら」に向かっても大丈夫なように、整理整頓をし続けていた。そんな中でも、常に爽快でポジティブだ。

甲状腺がんは、ゆっくりと成長してくれているので、今のところ大丈夫そう」と。

そして、こんなことも話された。

 

「実はね、こんな勢いで片付け続けてきたんですけどね、先日、主治医の先生から

いい薬が開発された、と言われたのです。だから、長生きできるかもしれなくなったんですよ。」

「良かったですね!」

「こんなに片付けちゃったのにね!どうするのよ!」

と言い、笑いが広がった。

今できる事を、やり続けて、これからも次々と旋風を巻き起こしてほしい。

 

 

 

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